お客様が来店してからメニューを選ぶまでは、お店のスタッフが色々とリードしてあげると良いと思いますが、食事が始まってからはお客様の空間(世界観)を邪魔しない接客を心がけましょう。
飲食店のホールスタッフのサービスは「ドリンクをつくる」や「料理を運ぶ」ことではなく、「お客様に楽しい時間を過ごしてもらう」ことです。
そのために意識するべきことを考えてみます。
一つ一つの作業時間を意識する
料理人やホール責任者(マネージャー)は常にタイマーや時計を気にしながら調理や仕事をしていると思いますが、その感覚をホールスタッフ(とくにパート、アルバイトさん)まで落とし込めていますか?
先日、このサイトの他の記事で「効率化より、ひと手間かけたサービスが重要」だと言いましたが、ひと手間かけたサービスを実現するには、当然ながら諸々の単純作業一つ一つのスピード(時間の短縮)が求められます。
時間短縮のための無茶をおすすめするわけではありませんが、常に一つ一つの作業時間を意識する事は、それだけでスピードアップにも繋がりますし、他の仕事(片付けやお会計など)との段取りを組むのにも役立ちます。スムーズな流れのサービスを行うには必要な要素です。
ドリンクの作業台やカウンター近くなど、お客様から見えない場所に従業員用の時計を用意すれば、スタッフ自身が作業に何分かかるのか、常に意識する癖をつけられます。
料理提供の優先順位
注文を頂いてから一番初めに出す料理は、とくにスピードを意識して優先的に作業しましょう。お通しがあるお店なら問題ないと思いますが、店内が混み合っている状態で自分のテーブルに何もない時間が長いと、それだけで「このお店大丈夫かな?」とお客様を不安にさせてしまうことがあります。
お店の方針にもよりますが、例えば団体様のドリンク注文をお一人様のドリンク注文の直前に受けた場合などは、状況を判断して提供の順番を変えたり、臨機応変に対応することをおすすめします。(団体様にはその旨を一言伝えればクレームにつながることも少ないと思いますし、その方がお店全体としての満足度は高まると思います。)
個人経営の小さな飲食店の場合は、その場の瞬間的な判断で、お客様の満足度が大きく変わるケースがたくさんあります。判断に迷うようなときは、その出来事をその場限りの事だと流さずに、リストアップして後でスタッフ間で共有しましょう。
付加価値をつける料理説明
レストランでは料理を運ぶ際に食材や調理法の説明をすることが多いですが、レストラン以外の業態のお店でもできるだけ「料理名」「食材の産地」「こだわりポイント」など、何かしら一言添えて料理を提供することをおすすめします。
この簡単な行為、たった一言添えるだけでお店や料理の価値を感じてもらいやすくなります。ただ、一つ注意したい点は、その行為がお店側の押しつけにならないようにすることです。
例えば仕事の接待、気を遣い合うような男女のデート、大切な打ち合わせやミーティングなど、食事を楽しむことよりも他の目的の方が明らかに優先順位が高い場合(会話をさえぎってはいけないような大切な話の最中)は、あえて無言で提供した方がいいこともあります。その時は必ずお客様の表情を(目を見て)確認して笑顔で料理を出しましょう。不快な印象を与えたり、クレームにつながることを防げます。
繫盛店の経営ルール