「終わりよければ全てよし」という言葉もありますが、物事の最初に与える印象と同じくらい最後の印象も重要です。
人は物事の「最初」と「ピーク(最高の瞬間)」と「最後」を記憶しやすいと言われています。これはつまり「長い時間を過ごしていても、その3つの瞬間の記憶が物事や出来事の全体のイメージを決定づけている。」と言い換えることができます。
このことをふまえて、最後のお会計からお見送りまでの接客について考えましょう。
飲食店のお会計はタイミングが重要
飲食店の接客では「お客様はどのような目的でお店を利用しているのか」という意識が重要です。お会計時は、レジ会計とテーブル会計など、お店のオペレーションの問題もありますが、どちらにせよお金を扱うやりとりはとてもデリケートな側面をもっていることを忘れないようにしましょう。
例えば「家族で日常の食事」「デート」「仕事の付き合い」では、それぞれお会計のタイミングは異なります。「家族で日常の食事」の場合はとくに注意することはないかもしれませんが、「デート」「仕事の付き合い」などでは、相手との関係性を見極めて、柔軟に対応するべきだと思います。
会計金額が相手にわからないように配慮したり、トイレなどで席を立った瞬間にお会計をスピーディに済ませたり、場合によっては事前にお会計を済ませて予算内で料理を提供したりするやり方もあります。
ここで言いたいのは、お会計のやり方ではなく、お客様とお連れ様の関係性まで配慮した対応を心がければ、お客様の満足度は上がるということです。
それから、今回タイミングにフォーカスして話を進めましたが、お金を頂く瞬間は相手に感謝の気持ちを伝える重要な場面でもあります。形式的にではなく、きちんと気持ちを込めて、たくさんある飲食店の中から選んで足を運んでくださったことと、お金を頂くことへのお礼を伝えましょう。
お見送りの仕方でお店の本性が現れる
ここまで何回かに記事を分けて、リピート率を増やして売上を伸ばすための「小さな飲食店の接客」について書いてきましたが、最後のお見送り次第で今までの接客が功を奏するのか、台無しになるのかが決まると言っても過言ではありません。
論外かもしれませんが、帰り際に挨拶もそこそこに「疲れた、やっと終わった」というような顔をするスタッフも稀に見かけます。こういうお店は美味しくても安くてもそれまでのサービスがどれだけ良くても、いずれお客様が来ないお店になると思います。
オーナーが一人で運営している飲食店では、他のお客様がいる場合のお見送りはむずかしいかもしれませんが、二人以上で運営しているのであれば、お客様が見えなくなるまでお見送りをすることをおすすめします。
お客様がお店を出る際に、作業しながら声だけで挨拶をする店、作業を止めてその場からお辞儀する店、扉まで出て来て挨拶してくれる店、振り返ったときに姿が見えなくなるまで見送ってくれている店、もう一度行きたくなるお店はどのお店なのかは考えるまでもないですよね。