個人経営店が正社員を雇うメリットとデメリット

飲食店の正社員

僕の周りに、正社員を雇わずにスポットでアルバイトスタッフに働いてもらう経営者さんが、増えてきました。

これからは、社員を雇わずに、小さな規模で営業していく飲食店がどんどん増えていくのかな?と感じています。

経営者さんの年代にもよると思いますが、これからの運営方針を検討しているという話をよく耳にするので、シェアしたいと思います。

正社員を雇うメリット

まずは、正社員を雇うメリットについて。

精神的に支えられている

「社員がいた頃は気が付かなかったけど、一人だと不安になるときがある。」と、社員が辞めて一人になったオーナーさんが一番初めにこぼした言葉。

社員がいてもいなくても、経営が上手くいっていなければ、給与面などで不安を覚えるオーナーさんは多いと思いますが、それ以上に「こいつらを食べさせていかなければならない。」「格好悪いところを見せたり、弱音は吐けない。」と、エネルギーを出せていた自分に気付いたそうです。

逆に万が一、何か自分に怪我や病気のトラブルがあっても、頼れる人がいる安心感もありますよね。やはりお店を任せられるほどのアルバイトさんはなかなか育てるのはむずかしいので、社員の存在はありがたいのです。

繁忙期を乗り越えられる

繁忙期はお店にとって、一年の売上を左右する大切な時期です。

お客様が増え、サービスの応対や料理の仕込みの準備と、全ての事にいつも以上の時間がかかってしまいます。

そんな少しでも人手が欲しい時に、アルバイトスタッフは「プライベート(もしくは他の仕事)が忙しくて、あまり出勤できない。」といったケースが出てきます。

アルバイトスタッフはフルタイムのフリーターでない限り、他にやることがあるから時給のバイト契約で働いているわけで、繁忙期は個人の行事やイベントと重なってしまうことが多いんですよね。

忙しかったら忙しい分だけ頑張って働いてくれる社員は、本当に助かります。(もちろん過労になるほど働かせるのはよくありませんが…。)

苦手分野を分担できる

必ずとは言い切れませんが、いくら経営者といっても、人間なので得手不得手はあると思います。オーナーシェフなら接客が苦手だったり、事務作業が苦手という方もいると思います。

ホームページやブログに載せる写真も、カメラが得意な人と、そうでない人の写真はかなり差がありますよね。

時間や曜日で勤務時間が限られているアルバイトスタッフだと、出勤時間以外の日常的に発生するような業務を任せるのは不便ですが、社員がいれば、得手不得手をより得意な人(まだマシかな?という人)に任せることが出来ます。

正社員を雇うデメリット

失敗した人の画像

次に、正社員を雇うデメリットです。

固定された人件費

数年前からお店を経営しているオーナーさんなら、世の中の移り変わりの早さを身をもって体験していると思います。

店舗の周辺地域に大型商業施設が出来たり、少し離れた場所に大型マンションが出来たり、常連さんがどんどん高齢化して、お店との相性が合わなくなっていったり…。

そんな状況の中、飲食店は原材料費と人件費をうまく調整しながら、経営を進めていきたいところですが、オーナー自身やアルバイトスタッフの給料は調整出来ても、社員の給料はなかなか調整することはできません。

人件費で経営が圧迫される状態が続くなら、雇用形態の見直しが必要になってくるかもしれません。

社員が家族を養っている場合、給与面の話は経営者側も社員側もお互いに精神的につらいですよね。

個人的な考えですが、社員を雇う段階(働き始める前)、基本給を抑えてお店の売り上げに応じた歩合給を提案してもいいかもしれませんね。

社員の教育コスト

団塊世代前後の人は、仕事を「教えるよりも、勝手に見て覚える」ものと考える人が多数派でした。今、経営者の人は団塊世代の上司や先輩から、この考えを引き継いでいると思います。

しかし、これからの若い世代の人たちに、この考え方はなかなか通用しません。

きっちりと順を追って、根気よく、何を目的にどういう意図で仕事をするか、など「教える技術」も必要になってきます。

つまり、経営者自身(もしくは職場内の先輩、上司)が、若い世代に対して教え方や接し方を学ぶ(アップデートする)ための時間と労力を投資するということですね。

経営者側がこの教育コストをかけず、せっかく雇った社員を今までと同じ感覚で育てて、「新人は使えない」「若いやつはやる気がない」なんて、お荷物扱いになってしまうなら、最初から社員を雇わない運営方法を検討した方が得策だと思います。

辞められるリスク

メリットと逆説的な話です。

安心して多くの仕事を任せられる社員を雇うことが出来れば、お店の経営にとってプラスの面が目立ちますが、仕事を任せれば任せるほど、その社員に辞められたときのリスクが大きくなります。

小さな飲食店では、下手をすると「主要な社員が一人抜けたらお店が潰れてしまった。」なんて状況にもなりかねません。

これはデメリットというよりは、リスク管理の問題に近くなりますね。アルバイトで回せる店なら、一人が辞めてもお店が潰れる可能性は低いと思います。

信頼関係の構築などとは別の事情で、やむなく辞める社員もいるでしょうから。

まとめ

飲食業界の時代の流れを見ていると、当面は店舗規模を縮小するケースが目立ってくるのかな?と思います。そうなると「社員を雇用できるのは大手の飲食店」という感じになりそうですね。個人経営の小さなお店は、アルバイトもしくはオーナー一人で回せる運営を視野に入れておくとリスクヘッジになると思います。