高単価でも集客できる飲食店の特徴

ウィスキーとカクテル

オーセンティックバー高級レストランなど、少し敷居が高めの飲食店は、集客をするための販促といっても雰囲気を壊さないような配慮が不可欠ですよね。

バーに限らず、非日常を楽しむ高級店というポジションを目指していれば、新規集客のために下手な販促をして敷居を低くするのは、お店のコンセプトに反する可能性が高くなってしまうと思います。

素敵な大人の空間を楽しむために行くお店で、割引きクーポン券を配られたら幻滅されてしまうかもしれません。

そこで今回は、客単価の高い飲食店が安定してお客様を集客できるように日々行っていることを挙げてみたいと思います。

徹底した顧客管理をしている

高単価の飲食店の安定した経営は、顧客管理が出来ているかどうかで決まるのではないかと僕は思っています。

売上ノルマの厳しい営業や販売職など他業種を経験している人は自然と意識できる顧客管理ですが、今までずっと料理の腕やお酒の知識を集中的に勉強してきた職人さん達には、顧客管理の重要性に気が付いていない人が多いと感じられます。

売上アップに情報収集は欠かせません。

顧客名簿のメリットとデメリット

「お客様ノート」なんて呼ばれていることもあると思います。以前、僕が飲食店で働き始めたばかりの頃、周囲の経営者の人達の話を聞いて、顧客名簿をつけていないお店が意外と多くて驚きました。

高級店でなくても、売上を常に意識しているお店であれば、例えば居酒屋などでアルバイトスタッフ同士が常連客の情報をシェアするために顧客名簿を利用しているお店もあります。色々な活用ができるので、是非作成をおすすめします。

【顧客名簿の記載内容】

  • 名前
  • 性別・年代
  • 連絡先(メールアドレスまたは電話番号)
  • 来店日
  • 食べたメニュー(飲んだお酒)
  • 好み
  • NGなこと(アレルギーなど)
  • 利用シチュエーション(誰と、どんな利用目的だったか)
  • 誕生日や記念日

どのくらい詳細を書けばいいのか悩みますが、「名前、連絡先、来店日、一言メモ」程度でもあると、次回来店時に有効です。

【顧客名簿をつけるメリット】

  • 顧客それぞれの満足度を高めるサービスができる
  • 来店頻度がわかる
  • 人気メニューがわかる
  • 個別にアプローチする手段になる
  • 顔と名前を憶えやすくなる

顔と名前と好みを覚えていれば、お客様との関係性を築きやすくなります。来店頻度や人気メニューがわかれば売上分析ができます。利用シチュエーションや連絡先がわかれば個々に対してアプローチもできます。

「以前はどんな理由で利用して、何を食べて、今回は何を求めているのか?」がわかるとサービスの精度が高められ、顧客満足度が格段に上がります。

例えば、状況に応じて「前回はこれを召し上がったので、今回は少し違うこちらのメニューはいかがですか?」などの一言を添えるだけでも、お客様は覚えてもらっていることに感動してくれます。

【顧客名簿をつけるデメリット】

  • 手間と時間がかかる
  • 作ったけど再来店してもらえなくて労力の無駄になる可能性がある

これは記帳を挫折する主な原因ですね。物理的に現場の労働時間が長くて事務作業の時間を確保できない場合は仕方ないと思いますが、顧客名簿をより簡単なものにして対応できるといいですね。

【継続して顧客管理するコツ】

パソコンを使って管理すると追加入力も検索も簡単になります。最近は予約管理システムや顧客管理システムで簡単にできるようにもなっていますね。無料のものも出回っているので、一度調べてみると良いと思います。

もしパソコンを使いたくない場合、細かい話ですがノートはルーズリーフを使った方が後々追加や移動ができて便利です。

ルーズリーフならそのまま複写式の伝票や会計票を貼り付けて一言メモを書いて残しておくだけでも、「確か何月に来店してくれたお客様だな」と振り返ることができます。細かい分析や戦略をたてるのに利用できなくても、お客様との関係性を築くことには十分利用できます。

個人情報を取得する方法

飲食店の顧客名簿

お客様に情報をもらえる前提で話をしていますが、誰もが簡単に情報提供してくれるわけではありません。

そこで推奨しているのが、「できるだけ予約をしてもらう」「お店のフェイスブックページにいいねを押してもらう」方法です。フェイスブックページの活用は今は高級店でも当たり前になっていますね。

まず予約をしてもらうだけで、ある程度の情報収集が可能です。そこに来店してから会話の中で情報を得て追加していけばスムーズに管理できます。

あまり深く繋がりたくないお客様もいると思いますので、そのときはさりげなくフェイスブックページの存在を伝えてフォローしてもらえるように促してみましょう。最低限、名前がわかれば後々わかり次第情報を追加していくことができます。

お客様との距離感を保っている

お客様との距離感の取り方は、接客の際にとても重要で難しいところです。

顧客管理をするからといって、リピート客全員を常連客のように接しなければいけないわけではありません。

毎回初めて来たかのような対応でも、実は「お酒の量や好みを把握してしる」「予算なども気にしてくれている」などの配慮があると気が付いたら、そのお客様は自然とお店のファンになってくれると思います。

お客様がお金を支払ってくれるのは、お店の「料理、接客サービス、空間、時間」などに価値を感じているからです。

例えば「接客サービス」についての価値を考えた場合、「仲良くなってリラックスできるお店」と「気遣いができていて家族を招待したり接待にも使えるお店」では、どちらに高いお金を払っても良いと思うでしょうか。どちらも良いお店ですが、後者の方が高単価のお店である可能性が高いですよね。

距離感と気遣いのバランスは難しいですが、上手い具合にコントロールすると客単価を上げることができると思います。

こういったサービスも、やはり根底にはお客様の情報(顧客管理)が基盤にあって、初めて意図的にコントロールできるようになると思います。

いいお店は紹介したくなる

前述の話は全て再来店のお客様のフォローにあたる内容で、「結局のところ、敷居の高いお店が新規集客する方法はないの?」と思われた方もいるかもしれませんが、このリピート客のフォロー(顧客管理)が、実際には既存客からの紹介でどんどん新規のお客様を集めることができる最も有効な手段だと僕は確信しています。

自分が素敵なお店の常連さんだったら、みんなに紹介したくなりますよね。

敷居が高いからこそ、信頼のおける身近な人の紹介が、来店の動機につながる可能性が極めて高いと思います。

高単価で敷居が高くなれば高くなるほど、付け焼刃の集客テクニックは通用しなくなります。高いお金を払う人はお店選びを失敗したくないので、地味な作業で信頼を積み上げているお店が選ばれます。