飲食店が10年以内に閉店する理由

閉店したレストラン

個人の小さな飲食店を経営していると、漠然と将来が不安になったりすることがありますよね。

「このままのやり方で大丈夫だろうか?」

そこで今回は、10年以上経営しているオーナーさんに、長く経営を続けるにあたって気をつけたことや、仲間のオーナーさんが10年以内に閉店に至った理由などをいくつか挙げてみます。

飲食店が10年以内に潰れる原因

  • 人手不足
  • 育てたスタッフの独立
  • 周辺地域の人口減少
  • 大規模な厨房機器の故障
  • 体力低下
  • 病気やケガ

最終的にはこれらが原因で売上低下、営業不可能、資金ショートになり閉店するケースを多く耳にします。

人手不足

飲食業界は慢性的に人手不足に悩まされていますが、知名度のない個人経営のお店だと死活問題ですよね。

OPEN当初は知人の紹介や以前の職場などの繋がりでスタッフを確保できていたけど、OPEN初期の頃のメンバーが辞めた後に定着する人がいなくなってしまったパターンです。

独立して忙しくなると、付き合いも自然と減ってしまい、修業時代の人脈がいつの間にかなくなってしまいがちです。

平日ランチに働いてくれる主婦層は見つかるけど、稼ぎ時の土日に出勤してくれるスタッフが確保できず、サービスが低下して客足が遠のいてしまう。もしくはスタッフがいないために営業自体出来ずに休業にしてしまう。

忙しくなってもスタッフへの気遣いや、日頃の人付き合いも経営の仕事の一つだと認識しましょう。

育てたスタッフの独立

長年働いてくれた右腕(二番手)の正社員が退職して、お店が回らなくなってしまったパターンです。

メインのポジションを右腕となるスタッフに任せていて、長年オーナーが実務から離れている場合は要注意です。

右腕がいなくなっても、自分がカバーすれば問題ないと考えていて、メインポジションを離れていたブランクを計算に入れていないと、いざ戻ったときに感が鈍っていてお店の質が落ちてしまう危険があります。

40歳前後で独立した場合、常に自分が最前線で働くのか、経営のみの立場に回るつもりなのか、ある程度早い段階で計画を立てていないと、「思ったようにいかなかった…」となりかねません。

周辺地域の人口減少

郊外の住宅街など、ベッドタウンにお店を構えている場合は、10~20年で環境が大きく変わります。

周辺住民が集客の源泉になるので、その街がどのくらいの時期から成長し始めているのか、都市計画なども含めて営業計画を立てると良いと思います。

「長く経営していれば、だんだん常連客がついて売上は安定するだろう」と思い込んでいると、いつの間にか街全体の人口が減少していて、徐々に経営がむずかしくなっていく事に気付きにくくなります。

早い段階で初期投資分を回収して、その後はのんびりと営業するのか、移転などを計画するのか、もしくは少し離れた距離からでも集客できるようなお店作りをするのかも含めて計画しましょう。

大規模な厨房機器の故障

飲食店の厨房機器や設備などは、ちょうど10年くらいを目安に故障、メンテナンス、交換が必要になるものが多いので、それに合わせて準備金を用意しておきます。

「たったそれだけで潰れるの?」と思われるかもしれませんが、実際に小さな個人の飲食店で、細々とお店を経営してきた場合、「冷蔵庫の修理で数十万円」「エアコンの交換で数十万円」と重なると、資金繰りにかなりの影響を与えます。

急な出費の負担を減らすために、食材の原価を落としたり、人件費を削った結果、売上が落ちて、益々悪循環に陥ってしまう危険もあります。

慌てて追加の借り入れを検討しても間に合わなかったり、そもそも細々と経営していて利益があまり出ていない場合、「この辺が潮時かもしれない…」とメンタルに影響を与えたりもします。

5年、10年で大きな修理費などの支出が出ても慌てないように備えておきたいところです。

体力低下

OPENから数年は、「なんとしてでも成功させてやる!」とエネルギーが出ていても、5年を越えたあたりから、よほどメンタルが強い人でない限り同じ情熱を注ぐことはむずかしくなります。

30代くらいが体力、集中力、経験のバランスのピークにあると思いますが、そこから落ちるのが当たり前という考えを持たないと、自分のイメージと現実が徐々に離れ始めていきます。

10年くらい経つと、如実に表れ始めてくるので、その前に若手を育成するか、体力低下と共に売上が低下しても成り立つ事業計画(若手に任せられる等)を練るなどの対策を検討すると良いと思います。

病気やケガ

10年近く営業していると、疲労が蓄積したり、運悪く病気やケガに見舞われることがあります。

こればかりはどうしようもないのですが、できる限り「病気やケガ」を避ける方法としては「長時間労働の解消」が挙げられると思います。

お店の経営ポリシーや、オーナーのコンセプトにもよりますが、例えば大きな掃除は清掃会社に外注したり、経理の仕事をできるだけ税理士に任せたり、その分スタッフの労働を減らすなどの工夫が後々の営業に響いてきます。

オーナーの病気やケガを乗り越えられたお店は、「二番手のスタッフが頑張ってくれた」「常連客が支えてくれた」など、日ごろからスタッフにもお客様にも愛されながら経営を続けています。

最後に

現在、5~6年くらいの営業を続けているお店は、このような状況を想定した運営ができているか、定期的に見直す時間を確保すると良いと思います。