美味しいのに客が来ない理由

ステーキ

ここ最近、いろんなオーナーさんから、「昔よりお客さんが減った」という言葉を聞きます。

以前も似た記事を書いたと思いますが、今回は「今までずっと美味しい料理を出しているのにお客さんが減ってしまうのはおかしい」と考えている経営経験の長いオーナーさん向けに、少しキツイ意見を言いたいと思います。

客が来ないのは誰のせい?

長年の経営経験があると、考え方が固まってしまうので、注意が必要だと思います。

10年以上続く飲食店は、全体の10%に満たないという話はよく聞きますよね。10数年以上営業していると徐々に周りから「老舗」扱いが始まります。

そうすると、「この地域では自分が一番美味しい料理を出している」と疑わなくなるんですね。飲食店のオーナーさんが、「自分の料理が一番」と思うのは良いことだと思います。

でも、「おかしい」と言っているだけでなく、「たくさんお客さんが入ってるお店は何が違うのか?」「この不景気に繁盛しているオーナーは何を考えているのか?」というところまで思考が働かないのは少し意識が足りないのかな?と思います。

現実に「お客さんが減っているお店」と「お客さんが増えているお店」があるのです。

客が来ないのは地域環境が悪いから?

あるお店の例です。

今までは、団塊世代が多く住んでいた大型マンションと、駅までを結ぶ道沿いの好条件の立地で、特別な販促をしなくてもお客さんが来てくれました。

ここ数年で団塊世代が外食をしなくなり、現役世代の子供たちは実家を離れ、お店のメインターゲット層がごっそりといなくなってしまいました。

元々は家族連れが多く、ボリューム満点の料理が人気でしたが、現在メイン客層の老夫婦にも同じボリューム満点の料理を出し続け、お客様からは「お腹が苦しい」という声を聞くほど。

それでもオーナーさんには、「ボリューム満点の料理がうちのスタイルだから」「うちの良さをわかる人だけ来てもらいたい」というこだわりがあります。

お客様が減っている原因として、環境が「悪い」のではなく、環境に「合わせていない」だけなのではないですか?

客が来ないのは接客サービスが悪いから

繁盛していた頃は正社員を雇っていたけど、その社員たちも独立し、「飲食業界は人手不足で若い人がいないから」とアルバイトスタッフでお店を切り盛り。

「最近のアルバイトは使えない」「料理が美味しくても接客が良くないと客は来ない」と、売上低下の焦りをスタッフに向けている様子。

お店の口コミをチェックしたら、「経営者らしき人がスタッフにきつく当たっていて、目の前で見ていて料理がマズくなった」というお客様の声がありました。

焦りから視野が狭くなってしまっているようです。

スタッフが減って、オーナーさん(シェフ)自身が接客をすることも増えたようですが、自分のサービス(心遣い)はお客様から評価されているのでしょうか?

客が来ないのはいつまでも同じやり方だから

オーナーさんの話を聞いていて、長年のキャリアで自信に満ちていた頃の姿を知っていた自分としては、なんだか寂しくなってしまったのですが、ネガティブな気持ちになっても仕方ありません。

ここはひとつ、「ちょっと今までとは違うやり方も試してみませんか?」「アルバイトさんにも協力を仰ぎましょう!」ということで、初心に戻ってチラシを作り、メニューを変更して前向きに。そこでオーナーさんが苦手な作業を周りのスタッフが助けます。

結果はすぐに出てきませんが、この「みんなでもう一度頑張ろう!」という気持ちが大切だと思うんですね。

現状が上手くいっていないやり方であれば、続けるのは危険です。焦った気持ちを一度捨てて、また一から時代に合わせて試行錯誤していきましょう。