少しキャッチーなタイトルですが、実際にセットメニューやコース料理ではなく、アラカルトメニューを提供しているダイニングバー、居酒屋、ビストロ、バルなどに関して言えば、「お皿を下げれば売上が上がる」という表現は間違っていないと思います。
少し付け加えれば、料理を出すときのついでにしかお皿を下げないお店や、付け合わせの野菜(添え物の葉っぱなど)を残していて、食べ終わっているかどうかわからないようなお皿を、そのまま放置しているお店は売上を上げるチャンスを失っていますよ、という話です。
そもそも食べ終わったお皿を下げてもらえないのは、テーブルが散らかっているみたいでストレスに感じる人はたくさんいますので、常にお皿を下げる意識をスタッフがもっていると、売上アップに関係なくお客様満足度も高まりますよね。
積極的にお皿を下げるメリットを具体的に説明していきます。
注文する機会を逃さない
一つは、追加注文をもらうチャンスを逃さないことです。
人は面倒なことを極力避ける習性があります。例えばグラスが空いていて「ドリンクを飲みたいな。」とか、テーブルに料理がまだ残っていても「これだけじゃまだ食べ足りない。」と思っていても、「わざわざ呼ぶのは面倒だから、そのうちスタッフがテーブルに来たら注文しよう。」と思う人はけっこういます。
そのうちに満腹感が時間差でやってきて「やっぱり頼まなくていいや。」という可能性が高まります。
もちろんお皿を下げなくてもホールをきちんと回っていて、グラスのドリンクが減っていたら声をかけるお店もありますが、注文を催促されているように感じるお客様も中にはいますので、お皿を下げるタイミングで料理やドリンクの注文を受けるのは双方にメリットがあります。
注文したくなる心理
物理的な問題ですが、飲食店のテーブルの上にお皿がない状態は、お店側にとってもお客様側にとっても、それなりの違和感を感じます。人は違和感を覚えると修正したくなる心理が働きます。つまり「それほど食べたいわけでもないけど、まだ食べられるから何かしら注文しようかな?」と思ってもらえる確率が高まります。
フレンチレストランやイタリアンレストラン、その他のレストランで、コース料理の最後の飲み物(コーヒーや紅茶)が空になってもカップを下げない理由は「テーブルに何もない状態=すぐに帰らないと気まずい雰囲気」が生まれてしまうからです。コース料理の場合は最後の飲み物を飲み終えた段階で、追加注文を受けることは基本的にはありませんので、あえてそのようにゆっくりしてもらえる状況にしています。
アラカルトメニューがメインのお店で、おしゃべり好きなお客様があえて「少しだけ残している」場合は、それを察してお食事よりもゆっくりおしゃべりを楽しんでもらえば良いと思います。
閉店時間前のロスタイム
お店の閉店時間前にラストオーダーを伺う際、テーブルの上のお皿の状況によってデザートや食後の飲み物の注文の確率も変わってきます。
コース料理がメインのレストランであれば、こういう状況はありませんが、もし「ちょっとデザートも食べたいけど、どうしようかな?」とお客様が悩んでいたとしても、食べ残しを片付けないと追加注文できないような状況では「デザートは頼むのやめとこう。」という気持ちになってしまいます。せっかくの売上アップのチャンスがもったいないですね。
本当に細かい話ですが、お客様の無意識レベルでの抵抗感を常に取り除く地道な作業の積み重ねが、売上アップをするための確実な方法です。
同席してる相手にお互いが気を遣い合っていて、最後の一つにずっと手をつけないお皿がいくつもあるような状態であれば、「お食事がお済みでしたらお下げしますので、お声をかけて下さい。」など、さりげなく笑顔で促すのも一つの方法です。
お互い遠慮し合っていて残しているだけの場合、笑顔で促せばお客様を不快な気持ちにさせることも少ないはずです。そもそも作ってから何時間も食べてもらえない料理は確実にまずくなってしまいますからね。閉店後の片付けも早く済ませられます。
慣れないスタッフには状況判断が難しいかもしれませんが、ベテランのスタッフがいたらフォローしてあげると良いと思います。
繁盛店の経営ルール