先日取り上げた【現金の支払いが出来ない飲食店】の話を飲食店オーナーさんとしていた時に、「僕の周りの飲食店はけっこう現金支払いのみで、クレジットカード決済は出来ないお店が多いなぁ。」と感じたので、今回はその話題を掘り下げます。
個人的にはラーメン屋とか立ち飲み居酒屋みたいに軽く一人で立ち寄って帰るようなお店でない限り、クレジットカード決済は取り入れた方が良いと思っています。
ただ、月末に一ヶ月の売上と原価と利益を見ると、「この利益でクレジット手数料を数パーセント持っていかれたらお店潰れちゃうよ!」という小さな個人経営のオーナーさんの気持ちもよくわかります。
本当にギリギリのラインで経営していたら、毎月売上の数パーセントの金額で死活問題になりかねません。
それでも、なぜクレジットカード決済を取り入れている個人経営店が昔より増えていっているのか考えてみます。
クレジットカード決済は店側にとって損か得か
客単価アップが見込める
クレジットカード決済は導入コストがほとんどかからないので、単純に月々の手数料分を計算して、取り入れたら結局お店は「儲かるのか?損するのか?」という事が一番気になりますよね。
これに関しては業態にもよりますが、一般的にはクレジットカードを利用するお客様の方が利用しないお客様よりも客単価が高いと言われています。僕のお店でも実際に高かったので、客単価アップはかなり高い確率で見込めると思います。
つまり現在の売上に対して手数料3~4%前後マイナスになるのではなく、売上自体が数パーセント上がる可能性があるということです。
これだけクレジットカードや電子マネーが普及しているので、普段から現金をたくさん持ち歩いてる人は少なくなっていると思います。
お客様は「いくらになるか心配」という心理的コストを下げられるので、お財布の中身を気にせず安心して食事を楽しめます。
決済手数料分のマイナス以上に売上アップと顧客満足度がアップする可能性があります。
クレジットカード決済で取り込める客層
- 仕事の接待費を会社のクレジットカードで経費として落としたい
- デートや知人をもてなす席ではスマートにお会計をしたい
- 大金を持ち歩きたくない
- マイルなどのポイントを貯めたい
この客層を見ればわかると思いますが、一番下の「マイルなどのポイントを貯めたい」人以外は、来店前からお金をたくさん使ってくれるつもりがある人たちなんですね。お店の客単価を上げてくれる人たちです。
こういう見込み客を支払いの数パーセントを気にするために、取りこぼしている可能性が高いです。上記の人たちは食べログやぐるなび等の飲食店比較サイトを見たときに、「クレジット決済不可」のお店は自然と候補から外して検討しています。
こうなってくるとクレジット決済を取り入れることが販促にもなるとわかりますよね。
クレジット決済を取り入れても全員が利用するわけではない
クレジット決済を導入するかどうかの検討の際に、現在の売上に対して数パーセントのマイナス計算をする経営者の方が多いと思いますが、実際の利用者は一部の少数派です。
ちなみに僕のカジュアルフレンチのお店ではクレジット決済売上は平均して全体の2割くらいでした。高級店になるほどこの割合は大きくなると思います。
要は基本的には多数の人が現金払いで、仕事の接待やデートなどで高単価になる人たちが利用していたと考えられます。
日本社会自体が現金派多数なので、正直なところ心配する程の決済手数料は持っていかれないと思いますが、お店側が意図的に利用制限をしているケースもありますよね。
「クレジット支払いはランチタイム不可、ディナータイムのみ可」「クレジット利用は5000円以上の方に限ります」など謳っているお店も見かけます。確かにランチ営業に関しては、ただでさえ利益が出ないので、マイルやポイント集めのお客様にはご遠慮頂いてもいいかもしれません。
すでにビットコイン(仮想通貨)決済の導入店舗も
これは都内に限られた話かもしれませんが、東京オリンピック(グローバル化)に向けて海外のお客様を取り込むつもりの飲食店は、積極的にクレジット決済を取り入れた方がいいと思います。
少し話が脱線しますが、ぐるなびがビットコイン(電子マネーではなく仮想通貨)の支払いを試験的に導入したという記事が数日前(2017年11月)に出ていました。2018年春には全国展開を目指しているそうです。
ビットコイン(bitcoin)決済は、すでにリクルート社のAirレジ(iPad等を利用したモバイル決済レジ)が取り入れて一時期話題になっていましたが、今年から大手がどんどん取り入れていますね。
日本ほどキャッシュレスが進んでいない先進国はないと言われていましたが(僕は海外にほとんど行ったことがないのでわかりませんが)もうすでに現金を使わない方向に世界が動き出しているんですね。
他にも大手の家電量販店や旅行会社がビットコイン支払いを採用し始めています。それを考えると飲食店のクレジット決済は当たり前のレベルなのでは?と思ってしまいます。
まとめ
今回はあまりデメリットが思い浮かびませんでした。
最後に、今回は客単価が3000~4000円くらい以上の飲食店をイメージしてお話をしました。客単価が1000円前後の飲食店ではまた今回の話は違ってくるのかもしれません。
なので、低単価の日常利用がメインのお店がクレジット決済を取り入れる必要性があるのかはわかりませんが、少額でよく通うお店だからこそ利便性を求める客層のニーズはあると思います。