客単価を上げる方法【値上げにはコツがあります】

客単価を上げるコツ

新年を迎えて「今までの経営のやり方を見直したい」と思われている、もしくはそうしないとマズいと思い始めている経営者の方のお話。主に利益率の低さと人手不足がネックになっているケースです。

  • 「年末の忙しさで体調を壊さないか心配しながら働いていた」
  • 「退職希望者を年末まで引き留めていたけど、年明けに何人もまとめていなくなってしまうことになった」
  • 「客離れが怖いけど値上げしないともうムリかもしれない」

同じ事を考えている方、けっこう多いのではないでしょうか?そこで今回は値上げに関する記事を書きます。(この記事は20席前後の小さな飲食店向けです)

むやみに値上げをしたらお客様が離れていって逆に売上が下がってしまうかもしれません。値上げをする場合は計画的に行いましょう。

これから紹介するのは少し手間と時間がかかる方法ですが、売上が上がる確率は高いと思います。

  • 高単価のお客様をターゲットにするには
  • お金をたくさん払ってくれるお客様の特徴
  • メニュー改善(時間・サービス・ホスピタリティ)
  • 値上げするのは満席状態かお客様から要望があったとき

高単価のお客様をターゲットにするには

今現状で経営が上手くいっていない場合は、何かしらの原因があると思います。現状のメニューをそのまま値段だけ上げたらお客様が減る可能性が高いです。

値上げ準備の段階として初めの一歩は、お客様の分析から始めます。確実に売上を上げたい場合は、この分析の精度を上げれば上げるほど比例して売上も上がると思います。

お客様ノート、もしくは営業日誌のようなモノできちんとお客様の利用状況と出たメニューと使った金額(客単価)を月単位でまとめましょう。予約張やレシートにメモ書きしたりして、月末に見直せるようにします。

【月毎のお客様の利用状況(一例)】

  • 夫婦の食事…35組(192,300円)
  • デート…○○組(~~~~~円)
  • 女子会…○○組(~~~~~円)
  • 家族の食事…○○組(~~~~~円)
  • 仕事の飲み会…○○組(~~~~~円)

※自分のお店の利用客に合わせてカテゴリーを分けて考えます。レシートや付箋メモなどをファイルやクリップなどで分けて保管し、月末に集計できるようにします。

【カテゴリー別の人気メニューorコース(一例)】

  • 夫婦の食事…○○ステーキ(メイン料理)
  • デート…○○のカルパッチョ(前菜料理)
  • 女子会…○○サラダ(前菜料理)
  • 家族の食事…○○コース(コース料理)
  • 仕事の飲み会…○○宴会コース(コース料理)

※人気メニューorコースの分析はお店のメニュー構成によって異なります。負担にならない程度を目安に細分化して自店に合わせて下さい。

メニュー内容が日替わりや週替わりなどでちょこちょこ変わる場合は、おおまかな括りにして考えます。(前菜の魚料理、メインの肉料理など)

パソコンを使える方はExcelで、パソコンを使えない方はメニュー表をカテゴリー分だけコピーして「正の字」で付けていくと楽かと思います。

飲食店の売上

お金をたくさん払ってくれるお客様の特徴

分析データが増えれば、必然的にどんなタイプのお客様が実際にお金をたくさん使っているか大体わかります。

その中で、さらに注意深く観察すると「デートだけど年齢層が高い人がたくさんお金を使っているな」「デートだけどキャバクラの同伴かな」など、意識することで色々と見えてくるものがあります。

ちなみによくある高単価のお客様のタイプの一例を挙げてみます。

【高単価の客層(一例)】

  • 子供が独立している比較的年配のご夫婦のデート
  • 水商売(年齢高め)の同伴
  • カップルの誕生日、記念日デート
  • 会社関係の接待
  • 会社の慰労会

一例を挙げましたが、立地や飲食店の業態によって様々だと思います。

感覚ではなく、予約やお会計の際にさらっと「今日は○○でご利用ですか?」と実際に聞いてみて(同伴っぽい人は除く)、自店の傾向をデータでしっかりと確認できると、後々値上げする際に売上アップに繋がりやすくなります。

「そんなのいちいち聞けないよ」「失礼じゃない?」と思われる方は、ちょっとした「お誕生日記念サービス」や、「法人優待サービス」を行うようにして、それを口実すると聞き出しやすくなります。

メニュー改善(時間・サービス・ホスピタリティ)

上記では単純に自分の店舗の現状を把握するだけでしたが、ここからが本番です。

値上げする際に、何もせずにただ「値上げしました」では、「儲けようとしてる?」「高くなったから行くのやめよう」で終わってしまいます。

自店の高単価のお客様がわかったら、その客層が喜ぶ「価値」を高めていきます。お客様が値上げしても納得できて、経営側もあまり負担にならないような価値が理想です。

一番基本となるのはデータを取った人気メニューの見直しです。もしくは逆に不人気メニューの改善をしましょう。加えて提供する時間・サービス・ホスピタリティなどの付加価値を見直していきます。

【メニューの改善(一例)】

【ご年配のご夫婦のデート】

人気メニューの原価を上げる、利用頻度に合わせて季節メニューを取り入れる

【水商売の同伴】

提供時間の早いメニューの充実、ニンニクの代わりにショウガを使ったメニューなど

【カップルのデート】

食べにくい(骨付きなど)メニューを減らす、好き嫌いに対応できるバリエーションのコースメニューを用意する

【会社の接待】

食べやすいコースメニュー(取り分けしない)、商談を邪魔しないボリュームの調節(少なめのボリュームで最後の〆だけガッツリ系など)

【会社の慰労会】

飲み放題メニューの充実、時間制限の見直し(フリードリンクは90分だけど、滞在時間は追加注文制にして180分など)

値上げするのは満席状態かお客様から要望があったとき

どのタイミングで値上げするのがベストなのか、経営状態によっても緊急度が変わると思いますが、まだ余裕があれば満席で断る機会が増えてきてからがベストだと思います。

お客様は来るけど利益が出ていなくて疲弊している状態ですね。

値上げによる客離れのリスクを減らすには、その前にお客様が増えるように前述の対策をしっかりする必要があります。

例えばランチは満席でディナーはガラガラ状態なのに、昼も夜も値上げするのはリスクがあります。段階的にランチを少しずつ上げていくのが良いと思います。

満席ではないけど、ある程度常連さんで売上を確保できている場合は、お客様から「こんなメニューが食べたい」とリクエストが出たら、平均単価よりも高めの設定でメニュー化するのも手段の一つですね。

まとめ

イチかバチかで値上げするのではなく、確実に売上を上げるためには値上げ前に準備が必要です。自店の客単価の高いお客様を見極めて、より満足してもらえる価値を高めましょう。